東京高等裁判所 昭和63年(行ケ)148号 判決
一 請求の原因一ないし三(特許庁における手続の経緯、本件発明の要旨、審決の理由の要点)については、当事者間に争いがない。
二 本件発明の課題
本件発明は顔料粒子で表面を被覆された蛍光体、特にカラーテレビジヨン用陰極線管の顔料付蛍光体に関するもので、その赤色顔料として従来用いられてきた硫セレン化カドミウムが人体に有害な作用を及ぼす物質であつたため、これに代わりかかる有害作用のない赤色顔料粒子として普通の赤セラミツクス顔料であるべんがら(Fe2O3、酸化鉄の一種)を選択したものであることは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第二、第三号証(本件特許の出願公告公報及び特許法一七条の三による補正の掲載。以下、両者を総称して「本件特許公報」という。)によれば、カラーテレビジヨン用陰極線管の青色発光蛍光体及び赤色発光蛍光体の粒子表面にそれぞれ青色顔料粒子と赤色顔料粒子を付着させて被覆するとそれらの顔料粒子のフイルタ効果によつて発光スペクトルのうちの一部の可視域がカツトされて発光色が鮮明となり、更に蛍光膜の顔料着色による外光の吸収効果によつて反射光が減少するため映像のコントラストが向上することは広く知られていること、このような顔料付蛍光体には、外光に対する反射率は低く、かつ発光輝度は充分高いこと、すなわち比反射率が一定である場合、発光輝度ができるだけ高いことが要求されるものであるところ、従来の赤色顔料付赤色発光蛍光体にあつては、右の要求を満たす赤色顔料粒子として硫セレン化カドミウムが用いられていたこと、硫セレン化カドミウムの使用と本件発明の課題に関し、本件特許公報には、カドミウムについて、「硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子に含まれるカドミウムは、人体に対して非常に毒性が強い金属であり、近年各方面で問題を生じている。かかる有害な金属を含む蛍光体は実用上好ましいものではなく、特に蛍光体の製造工程、あるいはブラウン管へ蛍光体を塗布する工程においてその取扱いに非常な注意をはらわなければならない。またテレビジヨンセツトの破損時や廃棄セツトの処分に際してのカドミウム被害に対しても重大な関心が向けられている。さらに廃棄物の処理についてもカドミウムは法律によつてその許容量が非常に厳しく決められているために、蛍光体製造工場およびブラウン管製造工場の廃気廃液中のカドミウム濃度を許容量以下にするためには、大規模な廃却物処理設備が必要である。以上の点から硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子を用いない赤色顔料付赤色発光蛍光体の出現が望まれている。」との記載があること(甲第二号証三欄九行ないし二六行)、更に発光輝度について、発明者は右要望を満たす赤色顔料付赤色発光蛍光体として、先に先願発明(特願昭五一―八七七七五号)において赤色顔料粒子としてべんがら(具体的には五五〇nm以下、五五〇nm、六〇〇nm、六五〇nmおよび七〇〇nmの波長における反射率が酸化マグネシウム拡散板の反射率を一〇〇%とする時、それぞれ一〇%以下、五%ないし一〇%、一〇%ないし二〇%、一三%ないし三〇%、及び一八%ないし四〇%であるべんがら)を用いた赤色顔料付赤色発光蛍光体を提唱し、同蛍光体はカドミウムを含まず、比反射率が同一である蛍光体を比較した場合、硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子を用いた従来の赤色顔料付赤色発光蛍光体と同等もしくはそれ以上の発光輝度を示す旨の記載に続いて、「本発明は赤色顔料粒子として上記先願に係る発明で使用したべんがらとは異なる特定のべんがらを用いた赤色顔料付赤色発光蛍光体に関し、本発明による赤色顔料付赤色発光蛍光体はカドミウムを含まないことは勿論のこと比反射率が同一である蛍光体を比較した場合、硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子を用いた従来の赤色顔料付赤色発光蛍光体のみならず、特願昭五一―八七七七五号に開示の、上記反射率を有するべんがら赤色顔料粒子を用いた赤色顔料付赤色発光蛍光体よりもより一層高い輝度を示す。」との記載があること(甲第二号証三欄三二行ないし四欄一三行)が認められる。前記当事者間に争いのない事実及び右引用に係る本件特許公報の記載によれば、本件発明は、顔料付蛍光体に赤色顔料粒子として用いられる硫セレン化カドミウムの有する毒性に鑑み、人体に対する安全性確保の観点からかかる毒性のない赤色顔料粒子を選択するとともに、顔料付蛍光体においてこれにより硫セレン化カドミウムを用いる場合に比し優れた発光輝度を確保することを目的としたものであることが認められる。
まず、人体に対する安全性確保の点についてみるに、成立に争いのない甲第三三号証の一ないし三(昭和四八年二月二二日付(朝刊)、同年一〇月一七日付(夕刊)、昭和四九年五月二一日付(朝刊)の各朝日新聞)によれば、既に昭和四八年初め頃からプラスチツク類などの産業廃棄物中に規制基準をはるかに越えた高濃度のカドミウムが含まれていることが指摘され、各方面からの求めに応じ、関係機関が対策を示していたこと、特に、昭和四八年一〇月一七日には、大手電機メーカーで構成される日本電機工業会が東京都に対し、廃物家電製品の自主回収の姿勢を示したこと、これらいわゆるカドミウム汚染に関する報道が当時の日刊新聞によりなされていたことが認められる。この事実によれば、カドミウム汚染問題はカラーテレビジヨン出現後に起こつたものであるが、本件出願前においては、特にカドミウム関連物質を使用しているカラーテレビジヨンの製造業界にあつて、カドミウムに代えて、人体に害を及ぼす恐れのない物質を選択することが差迫つた重大な関心事であつたものと認めることができる。
これに対し、発光輝度の向上の点は、もとより当業者にとつてひとつの課題ではあるが、カラーテレビジヨン出現当初より常に関心の対象とされてきた純然たる技術的事項であり、カラーテレビジヨン出現後にはじめて社会的な問題として指摘されたカドミウム汚染解決とは自ら課題の性質を異にするものであるということができる。そして、本件特許公報の前記発光輝度に関する記載によれば、本件発明は、発光輝度の向上の点に関しては、硫セレン化カドミウムに代わる毒性のない赤色顔料粒子として本件発明に規定された反射率のべんがらを採用することにより、硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子を用いた従来の赤色顔料付赤色発光蛍光体のみならず、特願昭五一―八七七七五号に開示された反射率を有するべんがら赤色顔料粒子を用いた赤色顔料付赤色発光蛍光体よりも高い発光輝度を有するものを求めているものであることが認められる。
以上によれば、本件発明の第一の課題は、顔料付蛍光体において、硫セレン化カドミウムに代わる人体に毒性のない赤色顔料粒子の選択にあつたものと認めるのが相当であり、発光輝度の向上については、人体に毒性のない赤色顔料粒子としてべんがらを選択することを前提としたうえでの課題であつたと解するのが相当である。そこで、先ず硫セレン化カドミウムに代えてべんがらを選択することが容易であつたか否かに関しては、人体に対する毒性の観点から硫セレン化カドミウムに代えてべんがらを選択することが容易であつたか否かについて検討する。
三 取消事由(1)に対する判断
1 本件発明と第一引用例記載の発明とは、共に特定蛍光体粒子の表面に特定顔料を付着させる点に特徴を有する、同一技術に関するものであつて、両者は、赤色蛍光体粒子の表面に顔料を付着させた顔料付蛍光体である点において一致すること、しかしながら、第一引用例記載の発明にあつては顔料が硫セレン化カドミウム、ルビー、赤着色硅酸ガラス、赤セラミツクス顔料であるのに対し、本件発明では顔料が特定のべんがらである点において相違することについては当事者間に争いがない。
2 本件発明が使用するべんがらが第一引用例の顔料である赤セラミツクス顔料の一種である点については当事者間に争いがないところ、原告は「赤セラミツクス顔料にはべんがら以外に数多くのものが存在するから、第一引用例の赤セラミツクス顔料として本件発明のごときべんがらを選択することが容易とはいえない」旨の審決の認定を争うので、以下判断する。
(一) 原告は、第一引用例にカラー・フイルタ粒子として記載されている「赤セラミツクス顔料」(同引用例には「赤セラミツクス顔料」ではなく「赤セラミツク顔料」と記載されているが(成立に争いのない甲第四号証三頁右上欄一七行ないし一八行)、「セラミツク」と「セラミツクス」は無機質固体材料を意味する語として同義であるので、以下、この点については「セラミツクス」との用語にしたがう。)について、右「赤セラミツクス顔料」は赤色無機顔料(セラミツクスよりなる赤色の顔料。以下、これを「赤色無機顔料」という。)を指すものであると主張するのに対し、被告は、右「赤セラミツクス顔料」は、赤色無機顔料の他、セラミツクスを製造する場合の赤色に着色するための顔料(釉薬用の顔料。以下、これを「釉薬用の顔料」という。)をも含めた用語である旨主張する。
一般に「赤セラミツクス顔料」が被告主張のような二つの意義を有すること、第一引用例に記載された「赤セラミツクス顔料」が少なくとも赤色無機顔料を意味するものであることについては当事者間に争いはないところ、成立に争いのない甲第二〇号証の一ないし三(「改訂二版・化学便覧」丸善株式会社・昭和四八年一一月一〇日発行)によれば、べんがらは、無機質物であるFeSO4・7H2Oを焼いて製造されるものであるから、「セラミツクス」そのものに該当し、赤色無機顔料であると認めるのが相当である。
しかして、第一引用例における赤セラミツクス顔料は蛍光体粒子の表面に付着して被覆するフイルタ粒子として使用されるものであるところ、前掲甲第四号証によれば、第一引用例には、蛍光体粒子にフイルタ粒子を付着させる工程は通常の工程によるとし、その一例として、「平均寸法が約五乃至二〇ミクロンの蛍光体粒子をたとえばゼラチン溶液中に浸漬することによつて、この蛍光体粒子は吸着性フイルムによつて被覆される。次いでこれを脱イオン水によつて洗浄して過剰のゼラチンを洗い取る。次に蛍光体粒子を平均寸法が約〇・一乃至〇・五ミクロンのフイルタ粒子が懸濁した吸着物質のない脱イオン水中で攪拌する。フイルタ粒子は蛍光体粒子を部分的に被覆するようにこの蛍光体粒子に付着する。次にフイルタ粒子被覆蛍光体粒子は脱イオン水中で洗浄される。もし粒子が充分に被覆されていなければ、上述の工程をフイルタ粒子が所要量だけ被着するまで必要回数繰返して行なう。次にこのフイルタ粒子被覆蛍光体粒子を乾燥して蛍光層として被着し得る状態のものを得る。」との工程が開示されており(四頁左下欄五行ないし二〇行)、この方法により着色を呈する蛍光体が得られること(四頁右下欄一三行ないし五頁右上欄二行に記載された例1によれば、赤色透過フイルタ材料として硫セレン化カドミウムを用いた蛍光体は赤色を呈する。)が認められる。右に開示された工程は加熱工程を伴わないものであり、第一引用例記載の発明において、赤青緑の各発光蛍光体に赤青緑の各透過フイルタ材料を被覆する全ての方法に通じるものであるから、前記のように、第一引用例に使用し得る赤色透過フイルタ材料として記載された赤セラミツクス顔料を用いる場合も、加熱工程を経ることなく、右同様の方法により蛍光体に被着させるものと認めるのが相当である。そうであれば、第一引用例に記載の赤色フイルタ粒子の材料としての赤セラミツクス顔料は赤色無機顔料を意味するものと解するのが相当であり、釉薬用の顔料、すなわち陶磁器の釉薬のような加熱(成立に争いのない甲第一二号証の一ないし三(「新版顔料便覧」誠文堂新光社・昭和四三年一一月一五日発行)によれば、釉薬としての顔料は、高温焼成の場合一三〇〇℃程度、低温焼成の場合八〇〇℃程度に加熱されることが認められる。)によつて変色する無機顔料までをも意味するものとは解されない。
なお、成立に争いのない乙第二号証(特公昭六一―五〇一一六号公報)(三欄六行ないし一〇行)によれば、同号証には、黄色酸化鉄が受像管製造工程における熱処理によつて熱分解して赤色顔料に変化しあたかも最初から赤色顔料を用いたかのような蛍光膜が得られる旨の記載の存在することが認められ、同記載によれば、赤色顔料付赤色発光蛍光体に用いられる赤色フイルタ粒子の材料としてのセラミツクス顔料は、赤色無機顔料に限られることなく、加熱によつて赤色に変色し得る赤色以外の無機顔料(但し、釉薬用の顔料は含まない。)も包含され得ることが認められるが、右書証にあつては顔料を変色させるための加熱工程が併せて明記されているものであつて、このような加熱工程を経ることについて全く記載がなく、他方赤色透過フイルタ材料として「赤セラミツクス顔料」を明記している第一引用例において、乙第二号証に記載されているような無機顔料を予定しているものと認めることはできない。右乙号各証は前認定を覆すに足りるものではなく、また、他にこの認定を覆すに足りる証拠もない。
(二) このように、第一引用例に記載された「赤セラミツクス顔料」は赤色無機顔料を意味するものであるところ、かかる赤色無機顔料としての「赤セラミツクス顔料」からべんがらを選択することが容易であるか否かについて検討する。
(1) べんがらに関しては、<1>成立に争いのない甲第一一号証の一ないし三(「セラミツクスの実際知識」東洋経済新報社・昭和五〇年一一月八日発行)(五二頁二〇行ないし二三行)によれば、同号証には、べんがら(酸化第二鉄)はセラミツクスの重要な原料で、顔料にも多く用いられる旨の記載が存在すること、<2>成立に争いのない甲第二五号証の一ないし三(「六〇七五の化学商品」化学工業日報社・昭和五〇年二月二五日発行)(六三二頁左欄)によれば、同号証には、べんがらは、別名「弁柄、紅柄、酸化鉄、赤色酸化第二鉄、三二酸化鉄、ベネシアンレツド」であり、用途は「塗料(船底塗料、さび止塗料)、フエライトコアー、マグネツト、ゴム、製紙、建材、リノリウムインキ、うるし、合成樹脂、絵具、……」であり、その性状として「高級品は日光、空気、水分、熱および酸、アルカリに安定である。」との記載が存在することが認められる。また、赤色無機顔料に関しては、<3>前掲甲第二〇号証の一ないし三(一一一一頁左欄一三行ないし同頁右欄四〇行)によれば、同号証は、赤色無機顔料として、カドミウムレツド、硫化水銀カドミウム、モリブデンオレンジ(クロムバーミリオン)と共に、べんがら(酸化鉄赤)をその第一番目に開示し、「耐候性、耐薬品性、隠ぺい力、着色力が大きい。粒子径〇・一μ程度がもつとも鮮明な赤を示す。」と記載していること、<4>成立に争いのない甲第二六号証の一ないし三(「新版・顔料便覧」誠文堂新光社・昭和四三年一一月一五日発行)(二六頁)によれば、同号証には、赤色の無機顔料としてべんがらをその第一番目に掲げ、以下順次鉛丹、銀朱(朱)、カドミウムレツド、カドミウムマーキユリーレッド、アンチモン朱を記載していること、<5>成立に争いのない甲第一〇号証の一ないし四(「色彩科学ハンドブツク」株式会社南江堂・昭和一一年六月二〇日発行)(四八五頁)によれば、同号証には、赤色無機顔料として、べんがらのほか、クロームバーミリオン赤口、鉛丹、カドミウム赤(前掲甲第二〇号証の一ないし三(一一一一頁)及び甲第二六号証の一ないし三(二六頁)によれば、別名カドミウムレツド)、朱、クロームバーミリオンが記載されていること、<6>成立に争いのない甲第二九号証の一ないし四(「新編・色彩科学ハンドブツク」東京大学出版会・昭和五五年二月二五日発行)(六九一頁)によれば、同号証には、赤色無機顔料として、べんがらのほか、鉛白(光明丹。成立に争いのない甲第二一号証の一ないし三(「化学大辞典」共立出版株式会社・昭和三五年三月三〇日発行・一一二一頁)によれば、別名鉛丹。)、カドミウム赤(別名カドミウムレツド)、クロムバーミリオン(モリブデン赤)、朱が記載されていること、<7>成立に争いのない甲第三〇号証一ないし五(「セラミツクス材料技術集成」株式会社産業技術センター・昭和五四年四月一〇日発行)(四七〇頁)によれば、同号証には、赤色無機顔料として、酸化鉄(べんがら)のほか、カドミウムレツド、カドミウム水銀レツド(前掲甲第二〇号証の一ないし三・一一一一頁によれば、別名硫化水銀カドミウム)、鉛丹が記載されていることがそれぞれ認められる。
以上の記載からみると、べんがらは、熱或いは化学的に安定であり、赤色無機顔料として代表的なものであること、また、セラミツクスの製造用として又はそれ以外の用途の無機顔料として、多種の用途に用いられるものであることが、本件発明の出願前において当業者の間で広く知られていたものと認めることができる。しかして、右に認定した赤色無機顔料を改めて整理して列挙すると、べんがら(酸化第二鉄)、カドミウムレツド(別名カドミウム赤)、硫化水銀カドミウム(別名カドミウム水銀レツド)、モリブデンオレンジ(別名クロムバーミリオン)、クロムバーミリオン(別名モリブデン赤)、クロームバーミリオン赤口、鉛丹(別名鉛白、光明丹)、銀朱(別名朱)、カドミウムマーキユリーレツド、アンチモン朱となるところ、成立に争いのない甲第二三号証の一ないし三(「化学大辞典」共立出版株式会社・昭和三五年一二月三〇日・五七一頁)によれば、朱が有毒であること、前掲甲第三〇号証の一ないし五(四七〇頁)によれば、鉛丹には公害上の問題があること、前掲甲第二〇号証の一ないし三(一一一一頁)によれば、モリブデンオレンジ(別名クロムバーミリオン)も鉛丹と同様に鉛化合物であることがそれぞれ認められるから、右に列挙した本件出願前周知の赤色無機顔料から人体に有害な物質であるカドミウムに代えて人体に毒性のないものを選択すれば当然「べんがら」に帰着するものといわざるを得ない。
(2) 以上のとおり、べんがらの選択は当業者にとつて容易であると認められるのであるが、第一及び第三引用例記載の発明の組合せの容易性の観点からも検討するに、第三引用例には、ZnCdS:Ag(銀活性化硫化亜鉛カドミウム)の蛍光体に付着せしめるフイルタ物質として、ペルシヤンガルフ型赤色酸化鉄、合成酸化鉄、すなわちべんがらが例示されていることは当事者間に争いがないところ、前掲甲第四号証によれば、第一引用例には、使用し得る赤色放射蛍光体(赤色発光蛍光体)として、本件発明で用いられているYVO4:Eu(ユーロピウム活性化バナジン酸イツトリウム)及びY2O3:Eu(ユーロピウム活性化酸化イツトリウム)のほか、第三引用例で使用される前記ZnCdS:Ag(銀活性化硫化亜鉛カドミウム)が記載されていること(三頁右上欄一二行ないし一八行)、成立に争いのない甲第一四号証の一ないし三(「近代工業化学11」朝倉書店・昭和四五年六月三〇日発行)によれば、同号証にはY2O3:EuとZnS:Agとは共に付活型の酸化物、硫化物の蛍光体として近接した種類の蛍光体として分類されている(二四二頁・表6.4(Ⅱ)付活型欄b.)ことが認められるところ、第三引用例記載の発明において使用されるZnCdS:Agなる蛍光体も右ZnS:Agも共に付活型の硫化物であることにおいて変るところがないから、第一引用例に記載され、かつ、本件発明において使用されるY2O3:Euなる蛍光体も第三引用例で使用される前記ZnCdS:Agなる蛍光体もフイルタ物質として赤セラミツクス顔料を使用し得る蛍光体として同等物質であるということができる。そうであれば、第一引用例に記載された赤色顔料粒子である硫セレン化カドミウムに代えてべんがらを選択することは、前記1に述べたようなカドミウム汚染排除の観点に立つ以上、一層容易になし得るところというべきである。審決は、本件発明における蛍光体と第三引用例における蛍光体とでは発光スペクトルが異なることを理由に第三引用例において使用可能とされた顔料を本件発明の蛍光体に組合せることの困難性を指摘するが、前掲甲第四号証及び成立に争いのない甲第三一号証(特公昭五三―三一八三三号公報)によれば、必ずしも両者に発光スペクトルの差があると認めることはできないのであり、仮に蛍光体の発光スペクトルの差により好ましい顔料付蛍光体を与えるか否かについて疑問が生じたとしても、およそ蛍光体の種類が少しでも異なればそれに適したフイルタ物質としての顔料も全く異なるものであつて、該蛍光体にフイルタ物質として好適な顔料を選択するに際しては他の蛍光体における好適な顔料を参考にする余地は全くないとの技術常識が存在するのであれば格別、本件証拠によるもそのような技術常識の存在は認められないから、本件発明の赤色顔料として、前記のように、第一引用例における人体に有害な赤色無機顔料である硫セレン化カドミウムに代えて、第三引用例に記載されたべんがらを選択してみることは、当業者ならば容易に想到し得ることであると思料される。
(3) 審決は、赤セラミツクス顔料にはべんがら以外に数多くのものが存在するから、べんがらを選択することが容易であるとは直ちにいえない旨判断している。審決がその根拠として掲げる各文献についてみるに、前掲甲第一〇号証の一ないし四(四八五頁)によれば、同号証にはべんがらを含む一一種類の赤顔料が記載されていることが認められるが、このうち無機顔料は前記<5>に認定したように六種類であるから、同号証に関する限り、この範囲で選択の容易性を判断すれば足りることになる。次に、前掲甲第一一号証の一ないし三によれば、同号証には、セラミツク工業における非可塑性原料に関して、「セラミツク顔料としては種々の金属、化合物が使用されるが、単一の金属および化合物だけでも一般に使用されているものは六四種類以上あり、それらの複合物になると非常に多数になる。」との記載(五四頁五行ないし七行)が認められるが、この記載は、顔料全般にわたるものであつて赤色無機顔料についてのものではないから、前記記載をもつてべんがら選択の困難性の根拠となし得るものではない。更に、前掲甲第一二号証の一ないし三は窯業用顔料に関する文献であるから、同号証記載の顔料は本件発明における赤セラミツクス顔料として選択範囲外のものであるから、やはり同号証の記載をもつてべんがら選択の困難性の根拠とすることはできない。
(4) 次に、審決が「第一引用例の赤セラミツクス顔料として鉄をその構成成分とするべんがらを選択することは非常識であるとせざるを得ず、本件のべんがらの選択に格別の技術的困難性があつたとするのが妥当である。」と判断したことの当否について、判断する。
一般に、蛍光体の製造に当たつては、鉄は、コバルト、ニツケルと並び、これを排除するために原料の段階から細心の注意が払われることが、この種の技術分野における技術常識であることについては、当事者間に争いがない。
しかしながら、いずれも成立に争いのない甲第一三号証の一ないし四(「蛍光体とその応用」オーム社・昭和三五年七月一五日発行)(四ないし五頁)、甲第一四号証の一ないし三(「近代工業化学Ⅱ」朝倉書店・昭和四五年六月三〇日発行)(二四二ないし二四三頁)及び甲第一五号証の一ないし三(「無機合成化学Ⅱ」共立出版株式会社・昭和四七年三月一〇日発行)(二四一頁)によれば、これら各号証には、蛍光体の製法は多種多様ではあるが、概略的には、精製した蛍光体の母体原料と付活剤とを混合し焼成するものであるところ、同蛍光体の製造においては、原料は高度に純粋であることを要し、蛍光を阻害する不純物(Fe、Ni、Co)の混入を避けて製造すべき旨が記載されていることが認められる。一方、前掲甲第六号証によれば、第三引用例において赤透過フイルタ物質は、蛍光体物質と混合して、或いは蛍光体粒子を被覆して用いるものであるところ、該フイルタ物質の具体例として酸化鉄(べんがら)が開示されていることが認められ、また、前掲甲第四号証及び成立に争いのない乙第一二号証(特公昭五〇―一八六九号公報)には、鉄と同様に混入してはいけないとされているコバルトを構成元素として含有する顔料を蛍光体と層状に形成せしめて用い得ることが記載されていることが認められる。
してみると、蛍光体それ自体を製造する過程においては、鉄、ニツケル、コバルト等の不純物の混入に細心の注意を払う必要があるにしても、焼成して蛍光体を得た後においては、蛍光体粒子の表面に付着せしめる物質として鉄或いはコバルトを含む物質を適用したとしても、これらが蛍光体の結晶中にまで入り込んで蛍光を阻害するものとは解されないとするのが相当であり、「第一引用例の赤セラミツクス顔料として鉄をその構成成分とするべんがらを選択することは非常識である」とした審決の判断は妥当ではない。
5 なお、被告は、<1>ブラウン管の製造には四〇〇℃を越える加熱工程が含まれる場合も多いから、顔料の鉄原子が蛍光体中に拡散して混入する可能性が充分に予測されること、<2>蛍光体をブラウン管製造工程から回収して再使用するため酸で洗う際に、蛍光体が顔料成分によつて汚染される危険が存することを根拠に、第一引用例の赤セラミツクス顔料として鉄をその構成成分とするべんがらを選択することは非常識である旨主張する。しかしながら、<1>については、仮にブラウン管の製造には四〇〇℃を越える加熱工程が含まれているとしても、第三引用例が好適な赤透過フイルタ物質の具体例として酸化鉄を開示している事実は、前認定のとおりべんがらが熱或いは化学的に安定であることからみて、この点を考慮したうえでの開示と認めるのが相当であるから、被告の同主張は理由がない。また、<2>についての蛍光体の再使用の点は、前認定の本件発明の目的とは直接に関わりがなく、別途に考慮すべき事項であつて、このような事項を考慮にいれてべんがらを選択することの困難性を主張することは妥当性を欠くものであり、この点に関する被告の主張も採用できない。
(6) ところで、被告は、耐熱性及び無公害性を考慮にいれれば赤セラミツクス顔料の中からべんがらを選択することは容易である旨を本件訴訟において原告が主張することは、訴訟段階における新たな無効原因の主張として許されず、また、原告提出の甲第一七号証ないし第二六号証、第二九号証及び第三〇号証は、いずれも右新たな無効理由の主張に関する証拠であるから、その提出は許されない旨主張する。
成立に争いのない乙第一号証の一、二によれば、原告の本件審判請求における特許法二九条二項の主張は、第一ないし第五引用例と対比したうえ、本件発明はこれら公知事実から容易に推考し得るものであるというにあつたこと、すなわち右主張は、本件発明に用いられるユーロピウム付活酸硫化イツトリウム等の赤色発光蛍光体は第四、第五引用例に開示されていること、これと同じ赤色蛍光体に赤セラミツクス顔料を赤色顔料粒子として被覆してコントラストの向上をはかることが第一引用例に開示されていること、べんがらが赤セラミツクス顔料として極めて普通のものであることが第二引用例に開示されていること、赤色発光蛍光体(但し本件発明において用いられたものとは異なる。)について、そのコントラスト向上のため被覆する赤色フイルタ(赤色顔料粒子)としてべんがらを使用することが第三引用例に開示されていること、したがつて、本件発明に用いられるユーロピウム付活酸硫化イツトリウム等の赤色発光蛍光体を被覆する赤色顔料粒子としてべんがらを選択することは容易であることというにある。このように、原告は第一ないし第五引用例の公知事実を無効原因としてべんがらの選択の容易性を主張しているのであり、被告が指摘する耐熱性及び無公害に関する主張は、べんがらの選択が困難であるとする審決の判断を攻撃し、その選択の容易性を理由付けるものであつて、別個の公知事実による新たな無効原因としての主張でないことは明らかである。特に、無公害の観点からべんがらを選択したことは、前記のように本件特許公報に記載されているところであつて、この点に関し、原告が本訴において右のような主張をしたからといつて、被告に特段の防禦上の不利益が生じるものと認めることはできない。そして、被告が新たな証拠として指摘する甲号各証は、いずれも、右主張の当否を判断するための資料で、容易に入手し得る理化学に関する辞典類か(甲第一七、第一九、第二一ないし第二四号証の各一ないし三)当業者向けの便覧又はこれに準ずるもので(第一八、第二〇、第二五、第二六号証の各一ないし三、第二九号証の一ないし四、第三〇号証の一ないし五)、べんがらを含む各種の赤色無機・有機顔料又はその成分について種類、性質、用途、毒性等に関するものであつて、本件出願前における周知事実又は当業者の技術常識に属し、特に前記各公知事実中の各種赤セラミツクス顔料、赤色無機顔料粒子の意義を明らかにするものと認められるから、これらの証拠が審判手続において提出されなかつたからといつて、本訴においてその提出が許されないものではない(なお、甲第二九号証の一ないし三、甲第三〇号証の一ないし五は本件出願後に発行された文献であるが、その内容に照らし、本件出願前の前記周知事実又は技術常識を記載したものと認めて差支えない。)。
(三) このように、第一引用例に記載された硫セレン化カドミウムに代えてべんがらを選択することに困難性を認めることができないのであるが、前記本件発明の要旨によれば、本件発明に用いられるべんがらは反射率の値で規定されているので、その臨界的意義につき検討する。
前掲甲第二号証によれば、本件特許公報において、五五〇nm以下、五五〇nm、六〇〇nm、六五〇nmおよび七〇〇nmの波長における反射率が酸化マグネシウム拡散板の反射率を一〇〇%とする時、それぞれ一〇%以下、五%ないし一〇%、一〇%ないし二〇%、一三%ないし三〇%、および一八%ないし四〇%の範囲にあるべんがら(特願昭五一―八七七七五号において用いられているべんがら)を「一般のべんがら」と称しているところ、本件発明におけるべんがらの反射率と「一般のべんがら」とするべんがらの反射率とでは、五五〇nm以下、五五〇nm及び七〇〇nmにおいては大部分において重複するものの、六〇〇nm及び六五〇nmの領域(赤色領域)においては値の範囲が異なる別異のものであると認められる。
しかしながら、赤色顔料粒子として硫セレン化カドミウムに代えてべんがらを選択すること自体に困難性が認められない以上、よりよい輝度の蛍光体を得るため、各種のべんがらの中からさらに選択しこれと赤色発光蛍光体との組合せを試みることは当業者として当然のことであり、本件特許公報の全記載によるも本件発明における反射率分布のものを得るための格別の工夫が成されているものと認めることもできない。成立に争いのない甲第一六号証(「粉体及び粉末冶金」四巻四号・粉体及び粉末冶金刊行会・一九五八年五月発行)によれば、同号証の2図a(四二頁)には硫酸鉄(FeSO4・7H2O)をそれぞれ異なる温度(六六〇℃、七〇〇℃、八〇〇℃及び九〇〇℃)で焙焼した四種のべんがら(Fe2O3)の試料の分光反射率が開示されているところ、その中の一つ(六六〇℃で焙焼したもの。試料S―6)は本件発明が規定する反射率に合致するものであることが認められ、また、前掲甲第二〇号証の一ないし三によれば、同号証の図13・5(FeOOHおよびFe2O3顔料の分光反射率)にはべんがら(Fe2O3)の反射率として正に本件発明が規定する反射率の範囲内のもののみが開示されていることが認められ、これらによれば、本件発明が各波長における反射率をもつて規定するべんがらは、本件特許公報にいわゆる「一般のべんがら」とは六〇〇nm及び六五〇nmの領域において反射率の値の範囲を異にするべんがらであるにもかかわらず、本件特許の出願当時通常のべんがらとして広く知られていたべんがらの範疇に属するものであると認めるのが相当であるから、各種のべんがらの中から本件発明に規定された反射率のものを選び赤色発光蛍光体と組合せることもまた格別困難なものと認めることはできない。
また、前掲甲第二号証によれば、本件特許公報の実施例において、本件発明の規定するべんがらとして使用されるべんがらは「平均粒子径がおよそ〇・三μのべんがら赤色顔料粒子(伊勢久製紅葉印)」と商品名によつて記載されていること(七欄二四行ないし二五行、八欄二二行ないし二三行等)が認められるのみであつて、その反射率についての記載はなく、仮に本件発明の規定する反射率のものであるとしても、右のように商品化されて販売されている公知のものである以上、当業者として容易になし得る選択の範囲内にあるものというべきである。
更に、同証拠によれば、本件特許公報には「本発明の顔料付螢光体は比反射率が同一である螢光体の比較において、硫セレン化カドミウム赤色顔料粒子を付着した従来の顔料付螢光体は勿論のこと一般のべんがら赤色顔料粒子を付着した顔料付螢光体よりも常に発光輝度が高い。」との記載があること(六欄三〇行ないし三五行)、及び、硫セレン化カドミウム、本件特許公報にいわゆる「一般のべんがら」及び本件発明の規定するべんがらをそれぞれ用いた場合の赤色顔料付赤色発光蛍光体の発光輝度を示す本件特許公報の別表及び第2図は、本件発明の規定するべんがらを用いたものが前二者よりも優れた結果を示していることがそれぞれ認められる。しかしながら、同証拠によれば、別表のデータは本件特許公報に開示された五つの実施例のデータを記載したものであるところ、これらの実施例において使用された赤色顔料粒子は、硫セレン化カドミウムにあつてはハーシヨウケミカル製♯一五五〇、本件特許公報にいわゆる「一般のべんがら」にあつては利根産業製天陽印♯五〇二又は同♯四〇二、本件発明の規定するべんがらにあつては伊勢久製紅葉印と、単に商品名によつて特定されているに過ぎないうえ、本件特許公報の全記載によるも、それぞれの商品名によつて特定された赤色顔料粒子の有する反射率の内容については明らかにされていないことが認められ、同データは、使用するべんがらを特に本件発明における反射率で規定したことによる発光輝度に関する特別の効果を証明するためのものとしては、必ずしも適当なものとは認められないし、仮にそれが一般のべんがらの反射率及び本件発明が規定する反射率を有するべんがらであるとしても、本件発明の規定するべんがらを選択することが当業者にとつて困難なことでないものである以上、本件特許公報の別表及び第2図が示すデータは選択されたべんがらの効果を確認したものにすぎず、これをもつて顕著な効果と認めることはできない。その他、本件特許公報の全記載によるも、赤色顔料粒子として使用するべんがらを特に本件発明における反射率のものに限定したことによる特別の効果を認めることはできない。
以上によれば、本件発明において用いられるべんがらを反射率の値で規定した点に臨界的意義は認められず、本件発明におけるべんがらは、公知のものの中から適宜選択し得た程度のことであるというべきであり、反射率の値で規定した点に進歩性を認めることはできない。
(四) 被告は、本件発明の効果として、<1>硫セレン化カドミウムに比べて安価であるうえ、使用量が重量で硫セレン化カドミウムの五分の一で足りる、<2>硫セレン化カドミウムを使用したものよりも輝度が高い、<3>硫セレン化カドミウムはブラウン管の加熱工程で性質が劣化するという問題があるが、べんがらは熱安定性および化学的安定性(回収処理の際の安定性)が高い、等の効果を主張し、発明の進歩性を主張する。しかし、<2>の効果が顕著なものと認められないことは既に述べたとおりであり、前記のとおり、顔料付蛍光体において赤色顔料粒子として周知の物質であるべんがらを選択することが容易であると認められるのであり、かつ前掲甲第二五号証の一ないし三に照らし、<1>及び<3>の効果は、右選択に付随する予測の範囲内にあるものというべきである。他に本件発明がべんがらを選択したことについて特段の効果を奏したものと認めるに足りる証拠もない。
(五) 以上によれば、第一引用例において、蛍光体粒子の表面に赤セラミツクス顔料を付着せしめるに当たつて、赤セラミツクス顔料の中から本件発明が規定するべんがらを選択することは当業者が容易に想到し得ることであると認めるのが相当であり、本件特許の登録を無効とすることができないとの審決の結論には誤りがあるから、審決は違法なものとしてその取消しを免れない。
四 よつて、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由があるからこれを認容することとする。
〔編注〕本件発明の要旨は左のとおりである。
1 ユーロピウム付活酸硫化イツトリウム蛍光体、ユーロピウム付活酸化イツトリウム蛍光体およびユーロピウム付活バナジン酸イツトリウム蛍光体のうちの少なくとも一つである赤色発光蛍光体と、この蛍光体表面に付着したべんがら赤色顔料粒子とからなり、前記べんがら赤色顔料粒子の反射率が、五五〇nm以下、五五〇nm、六〇〇nm、六五〇nmおよび七〇nmの波長において、酸化マグネシウム拡散板の反射率を一〇〇%とする時、それぞれ一〇%以下、五%乃至一五%、二〇%よりも高く三〇%以下、三〇%よりも高く四〇%以下および三五%乃至五〇%であることを特徴とする顔料付蛍光体。
2 前記赤色発光蛍光体の平均粒子径が三μ乃至一五μであり、前記べんがら赤色顔料粒子の平均粒子径が一・〇μ以下であることを特徴とする特許請求の範囲第一項(本件発明の要旨1項)記載の顔料付蛍光体。
3 前記赤色発光蛍光体の平均粒子径が四μ乃至一二μであり、前記べんがら赤色顔料粒子の平均粒子径が〇・二μ乃至〇・五μであることを特徴とする特許請求の範囲第二項(本件発明の要旨2項)記載の顔料付蛍光体。
4 前記べんがら赤色顔料付着量が前記赤色発光蛍光体一〇〇重量部に対して〇・一重量部乃至二重量部であること
を特徴とする特許請求の範囲第一項乃至第三項(本件発明の要旨1項ないし3項)のいずれか一つの項記載の顔料付蛍光体。